巻き肩は、肩だけの問題じゃない。
Rounded Shoulders Aren’t Just a Shoulder Problem.
理学療法士が教える、美しくなる身体の教科書
A Physical Therapist’s Guide to a Beautiful Body
Evidence-Based • Posture • Anatomy • Women’s Health
科学的根拠・姿勢・解剖学・ウィメンズヘルス
「肩を後ろに引いているのに、また戻ってしまう。」
鏡を見たとき、
「肩が前に入っている」
「デコルテがきれいに見えない」
「なんとなく猫背に見える」
そんなふうに感じたことはありませんか?
巻き肩を改善しようとして、
胸を張る。
肩甲骨を寄せる。
胸の筋肉をストレッチする。
それでも、気づけばまた元に戻っている。
実はそれ、肩だけを見ているからかもしれません。
いわゆる「巻き肩」は、肩関節だけで起こっているものではありません。
胸郭・背骨・肩甲骨・筋肉、そして身体の使い方。
さまざまな要素が影響し合って、今の姿勢をつくっています。

01|身体では何が起きている?
「巻き肩」は医学的な病名ではなく、一般的には[ 肩が身体の前方に位置している姿勢(Forward Shoulder Posture)]などを指して使われる言葉です。
ポイントになるのが、
肩甲骨 × 胸郭 × 胸椎
の関係です。
肩甲骨は、背中に単独で固定されている骨ではありません。
肋骨でできた「胸郭」の上を滑るように動きながら、腕の動きを支えています。
そのため、背中が丸くなり胸郭の位置が変われば、肩甲骨の位置も影響を受けます。胸椎後弯と前方肩姿勢には関連があり、胸椎への介入によって前方肩姿勢が改善した研究も報告されています。
つまり、
肩が前にあるから、肩だけを後ろに戻す。
これだけでは十分ではないことがあります。

筋肉では?
巻き肩を考えるときによく注目されるのが、
小胸筋(Pectoralis Minor)
前鋸筋(Serratus Anterior)
僧帽筋(Trapezius)
などです。
特に小胸筋は肋骨から肩甲骨の烏口突起についているため、その長さや緊張状態は肩甲骨の位置と関係します。
一方で、前鋸筋や僧帽筋は、腕を動かすときに肩甲骨を適切にコントロールする重要な筋肉です。
ただし、
「小胸筋が硬い=巻き肩」
「背中の筋肉が弱い=巻き肩」
と単純に決められるわけではありません。
前方肩姿勢には、小胸筋の状態だけでなく、胸椎の角度や肩後方組織の硬さなど複数の要素との関連が報告されています。
だからこそ、身体は一つの筋肉ではなく全体を見ることが大切です。

呼吸も関係する?
ここもFreesiaで大切にしているポイントです。
肩甲骨が乗っている胸郭は、呼吸のたびに動いています。
息を吸えば肋骨が広がり、吐けば戻る。
つまり、
姿勢と呼吸は完全に別のものではありません。
ただし、「呼吸が浅いから巻き肩になる」と一つの原因に決めつけることはできません。
胸郭の動きや呼吸の仕方も含めて、肩甲骨が動きやすい土台になっているかを見ることが大切です。
呼吸と姿勢については、今後のBeauty Anatomyで詳しく解説していきます。
02|論文では何がわかっている?
ここで大切なのは、
「いい姿勢=一つの正しい形」ではない
ということ。
2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、運動療法によって前方頭位・巻き肩・胸椎後弯などの姿勢指標が改善する可能性が示されています。
また別の2024年のレビューでは、姿勢改善においてストレッチだけよりも筋力トレーニングの方が有効である可能性が示されています。
一方、2026年のメタ解析では、運動によって姿勢の数値は改善しても、痛みや機能改善まで必ず伴うとは限らないことも報告されています。
つまり、
「巻き肩だから悪い」ではなく、
その姿勢で身体がどう動いているかを見ることが大切。
これが現在の研究を踏まえた考え方に近いと思います。
03|理学療法士として私が見るところ
私は巻き肩を見るとき、肩の位置だけを見るのではなく、
頭の位置
胸椎の丸まり
肋骨・胸郭の動き
肩甲骨の動き
腕を上げたときの動き方
呼吸
などを合わせて見ます。
なぜなら、人によって「肩が前に見える理由」が違うからです。
胸郭が丸まっている人。
肩甲骨をうまく動かせていない人。
胸の前側が硬くなっている人。
反対に、姿勢を良くしようとして肩甲骨を寄せすぎている人もいます。
だから私は、
「肩を後ろに引きましょう」
だけではなく、
「あなたの肩が動きやすい身体をつくる」
という考え方を大切にしています。
美容整体でも理学療法でも、目指したいのは無理やりつくる姿勢ではなく、
自然に、心地よく、美しくいられる身体。
それがFreesiaの考える姿勢です。
04|今日からできる Beauty Exercise
Wall Slide + Reach
壁を使った肩甲骨エクササイズ
今日紹介するのは、Wall Slide(ウォールスライド)。
前鋸筋を含む肩甲骨周囲筋を使いながら、肩甲骨と腕を一緒に動かす練習です。Wall Slideで前鋸筋が活動することは筋電図研究でも確認されています。
やり方
- 壁に向かって立つ
- 両前腕を壁につける
- 肩をすくめないようにする
- 息をゆっくり吐きながら、腕を壁に沿って上へ
- 最後に壁を少し遠くへ押すイメージで肩甲骨を動かす
- ゆっくり戻す
5〜8回 × 1〜2セット
ポイントは、
「肩甲骨を寄せる」のではなく、「肋骨の上を肩甲骨が動く感覚」をつくること。
痛みがある場合は無理に行わず、動かせる範囲で行ってください。
Beauty Anatomy Point
肩を後ろに引けば、美しい姿勢になるわけではありません。
肩甲骨が動くためには、
胸郭という土台が必要です。
そしてその胸郭は、
背骨・肋骨・呼吸とつながっています。
Beautiful posture starts beyond the shoulders.
美しい姿勢は、肩だけではつくられない。
身体全体のつながりを知ることが、
自分の身体をもっと好きになる第一歩です。
MAI’s Beauty Anatomy
by Freesia
Physical Therapist × Beauty Bodywork
Beauty from Posture.
姿勢から、自分をもっと好きに。



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