Your Pelvic Floor Needs to Relax, Too.
MAI’s Beauty Anatomy by Freesia
理学療法士が教える、美しくなる身体の教科書
A Physical Therapist’s Guide to a Beautiful Body
Evidence-Based • Posture • Anatomy • Women’s Health
科学的根拠・姿勢・解剖学・ウィメンズヘルス
01|骨盤底筋、「とにかく締める」練習になっていませんか?
骨盤底筋トレーニングというと、
「おしっこを我慢するように締める」
「産後は骨盤底筋を鍛えたほうがいい」
「尿もれがあるなら筋力が弱い」
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
でも、前回 #17 でお伝えしたように、骨盤底筋は締めるためだけの筋肉ではありません。
今回もう一歩深く見ていきたいのが、
「力を入れたあと、きちんと力を抜けていますか?」
ということ。
筋肉には、収縮するだけでなく弛緩する能力も必要です。
骨盤底筋も同じです。
強く締め続けることより、
締められる・ゆるめられる・必要なタイミングで働ける。
この「調整できること」が大切です。
02|身体では何が起きている?
骨盤底筋にも「ON」と「OFF」がある
骨盤底筋群は、骨盤の底にハンモックのように広がっています。
咳をする。
ジャンプする。
重いものを持つ。
このように腹圧が急に高まる場面では、骨盤底筋も腹圧に対応して働きます。
一方、
排尿する。
排便する。
身体を休める。
こうした場面では、骨盤底筋が適切にゆるむことも必要です。
つまり、
ずっとONでも、ずっとOFFでもない。
状況に合わせて変化できることが重要です。
「力が入っている=強い」とは限らない
筋肉にいつも力が入っていると、
「しっかり働いている」
ように感じるかもしれません。
でも、常に緊張している筋肉と、必要なときに十分な力を発揮できる筋肉は同じではありません。
骨盤底筋が過剰に活動している状態では、骨盤周囲の痛み、排尿・排便時の困難、性交時痛などと関連する場合があります。
ただし、これらの症状にはさまざまな原因があるため、
「症状がある=骨盤底筋が硬い」
と自己判断することもおすすめできません。
横隔膜との「上下のチームワーク」
骨盤底筋を考えるうえで、もう一つ大切なのが呼吸です。
身体を横から見ると、
上には横隔膜。
下には骨盤底筋。
その間には腹腔があります。
息を吸うと横隔膜が下降し、腹腔内の圧力が変化します。
骨盤底もそれに合わせて下方へ動きやすくなります。
息を吐くと横隔膜が上がり、骨盤底も上方へ戻る方向へ動きます。
つまり呼吸の中でも、
骨盤底は小さく「ゆるむ・戻る」を繰り返しています。
03|論文・ガイドラインでわかっていること
骨盤底筋トレーニングは、女性の尿失禁に対する第一選択の保存的治療として広く推奨されています。
ただし、適切な骨盤底筋トレーニングは、
単に最大限強く締め続けることではありません。
国際的な骨盤底筋トレーニングの考え方でも、正しい収縮を行い、その後に筋肉を弛緩させることが重要とされています。
また、骨盤底筋の過活動がみられる場合には、収縮練習だけではなく、リラクゼーションや身体への気づきなどを含めた理学療法的アプローチが用いられます。
一方で、骨盤底筋の状態は外から見ただけでは判断しにくく、
「尿もれ=弱い」
「痛い=硬い」
と単純に分類できるものではありません。
だからこそ、症状がある場合には「とりあえず締める」のではなく、その人の骨盤底がどのように働いているかを評価することが大切です。
04|理学療法士として私が見るところ
私が骨盤底筋を見るときに大切にしたいのは、
「どれだけ強く締められるか」だけではありません。
収縮できるか。
その収縮を少し保てるか。
収縮したあと、力を抜けるか。
呼吸を止めずに動かせるか。
お腹・お尻・内ももを過剰に固めていないか。
立つ・歩く・咳をする・物を持つなど、実際の生活の中で身体と協調できているか。
ここまで含めて考えます。
特に、普段から身体に力が入りやすい方の場合、
「もっと締めて」
だけではなく、
「まず力を抜く感覚を知る」
ことが必要なケースもあります。
Freesiaで大切にしたいのは、
強い骨盤底ではなく、しなやかな骨盤底。
必要なときには支え、必要のないときには休める。
それも身体の大切な機能のひとつです。
05|今日からできるセルフケア
Pelvic Floor Drop
骨盤底を「ゆるめる」呼吸
今回は骨盤底を締めません。
「何もしない」感覚をつくるセルフケアです。
STEP 1|楽な姿勢をつくる
仰向けになり、両膝を立てます。
お腹、お尻、内ももの力を抜きます。
歯を食いしばっていないか、肩に力が入っていないかも確認してみましょう。
STEP 2|息を吸う
鼻から静かに息を吸います。
肋骨とお腹がやさしく広がるのを感じながら、
骨盤の底も
「下へ押す」のではなく、「ふわっと広がる」
イメージを持ちます。
STEP 3|吐いて、自然に戻る
口または鼻からゆっくり息を吐きます。
骨盤底をギュッと締めず、
自然に元の位置へ戻っていく
感覚を探します。
5呼吸程度から始めてみてください。
うまく感じられなくても問題ありません。
骨盤底は目に見えない場所だからこそ、
まずは呼吸しながら力を抜ける身体をつくることから始めてみましょう。
※尿もれ、骨盤臓器脱感、排尿・排便の困難、性交時痛、骨盤周囲の痛みなどが続く場合は、自己流のトレーニングだけで対応せず、医療機関や骨盤底に詳しい専門職への相談も選択肢になります。
Beauty Anatomy Point
骨盤底筋は、「強いほどいい」わけではありません。
締める。
ゆるめる。
支える。
呼吸する。
動きに対応する。
A healthy pelvic floor can contract — and relax.
しなやかな骨盤底は、締めることも、ゆるめることもできる。
身体をずっと固めておくのではなく、
必要なときに働き、
必要のないときには休む。
そんなしなやかな身体の土台を育てていきましょう。
MAI’s Beauty Anatomy
by Freesia
Beauty from Posture.
姿勢から、自分をもっと好きに。



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