骨盤を整えても、変わらない人へ。|MAI’s Beauty Anatomy #04

BEAUTY ANATOMY

骨盤を整えても、変わらない人へ。

Why “Fixing” Your Pelvis Isn’t Always Enough

MAI’s Beauty Anatomy by Freesia

理学療法士が教える、美しくなる身体の教科書
A Physical Therapist’s Guide to a Beautiful Body

Evidence-Based • Posture • Anatomy • Women’s Health
科学的根拠・姿勢・解剖学・ウィメンズヘルス

01|「骨盤を整えたのに、また元に戻る…」

「骨盤が歪んでいると言われた」

「骨盤矯正を受けると、その日はすっきりする。でもしばらくすると元に戻った気がする」

「骨盤を立てようと意識すると、逆に身体が疲れる」

そんな経験はありませんか?

姿勢や美容について調べると、よく目にするのが**「骨盤を整える」**という言葉です。

もちろん、骨盤は身体の中心に位置していて、姿勢や動きを考えるうえでとても大切な場所。

でも実は、

骨盤だけを“正しい位置”に置けば、美しい姿勢になる

というほど身体は単純ではありません。

前回のBeauty Anatomyでは、反り腰とお腹の見え方について、骨盤・腰椎・胸郭・呼吸のつながりをお話ししました。

今回はもう一歩進んで、

「そもそも骨盤は、本当に固定するものなの?」

というところから身体を見てみましょう。

02|身体では何が起きている?

まず知っておきたいのは、

骨盤は「土台」だけれど、固定された土台ではない

ということです。

骨盤は、

左右の寛骨・仙骨・尾骨

などから構成され、その上には腰椎、下には股関節があります。

つまり、

胸郭
↓
腰椎
↓
骨盤
↓
股関節
↓
脚

と、身体の上下をつないでいる場所でもあります。

そのため骨盤の位置は、骨盤だけで決まっているわけではありません。

たとえば、

胸郭の位置が変わる。
股関節の位置が変わる。
体重をかける脚が変わる。
呼吸が変わる。

こうしたことでも、立っているときの骨盤の位置は変化します。


骨盤は「前傾」「後傾」して動く

骨盤を横から見たとき、

前方へ傾く動きを骨盤前傾、
後方へ傾く動きを骨盤後傾

と呼びます。

どちらか一方が「悪い姿勢」なのではありません。

歩く、しゃがむ、座る、立ち上がる。

私たちは日常生活の中で、骨盤や腰椎、股関節を組み合わせながら身体を動かしています。

だから本来大切なのは、

「骨盤が何度になっているか」だけではなく、必要に応じて動けるかどうか。

骨盤をずっと同じ位置に固定しようとすると、かえって身体に余計な力が入ってしまうこともあります。

「骨盤が歪んでいる=痛み」でもありません

姿勢の左右差や骨盤の傾きを見つけると、

「これが腰痛の原因なのでは?」

と心配になる方もいるかもしれません。

しかし研究では、腰痛のある人に骨盤傾斜など一部の姿勢特性の違いがみられる可能性はあるものの、研究結果には大きなばらつきがあり、姿勢だけから腰痛の原因を断定することは難しいとされています。PubMed

人の身体はもともと完全な左右対称ではありません。

大切なのは、

左右差があるかどうかだけを見るのではなく、その身体でどのように動けているかを見ること。

です。

03|論文・ガイドラインからわかっていること

2024年に発表された、ストレッチや筋力トレーニングが脊柱・骨盤周囲の姿勢に与える影響を調べたシステマティックレビューでは、ストレッチだけでは姿勢への明確な効果は確認されませんでした。

筋力トレーニングでは一部の姿勢指標に改善がみられましたが、腰椎・骨盤領域では明確な効果が確認されなかったと報告されています。

また、腰痛のある人では腰椎の動きが小さくなる傾向が報告されており、特に難しい動作になるほどその違いが大きくなる可能性があります。

さらに、腰痛のある人では股関節の可動域や筋力、筋活動にも違いがみられるというレビューもあります。PubMed

つまり研究からも、

骨盤だけを単独で見るのではなく、腰椎・股関節・身体の動きまで含めて考えること

が大切だと考えられます。

04|理学療法士として私が見るところ

私が姿勢を見るとき、

「骨盤が前傾していますね」

で評価を終わらせることはありません。

私が確認したいのは、

胸郭と骨盤はどう重なっているか。

腰椎は曲げたり伸ばしたりできるか。

股関節は動いているか。

左右の脚へ体重を移動できるか。

呼吸したときに胸郭やお腹が動いているか。

そして、

その姿勢で本人が困っているのか。

ということです。

私は、

「骨盤を正しい位置に戻す」

というより、

「骨盤も含めて、身体が必要な方向へ動ける状態をつくる」

という考え方を大切にしています。

姿勢は写真の一瞬だけではありません。

歩くときも、座るときも、呼吸するときも、身体は常に少しずつ変化しています。

だから美しい姿勢も、

一つの形に身体を固定することではなく、力まずに身体を支えながら、必要なときにしなやかに動けること。

それが、Freesiaで目指している身体です。

05|今日からできるセルフケア

Pelvic Clock|骨盤を小さく動かしてみる

今回は骨盤を「正しい位置に固定する」のではなく、

骨盤が動ける感覚をつくるセルフケア

をしてみましょう。

仰向けになり、両膝を立てます。

骨盤の上に時計が置いてあるとイメージしてください。

おへそ側が12時、
足側が6時です。

まず息を吐きながら、腰が床へ少し近づくように骨盤を12時方向へ小さく動かします。

次に息を吸いながら、腰の下にほんの少し空間ができるように6時方向へ戻します。

これを、

ゆっくり5〜8往復。

大きく動かす必要はありません。

ポイントは、

「どちらが正しいか」を探さないこと。

前にも後ろにも、力まず動けるかを感じてみてください。

呼吸を止めず、

骨盤と腰が一緒にやわらかく動く感覚

を探してみましょう。

痛みやしびれなどが出る場合は、無理に続けないようにしてください。

Beauty Anatomy Point

骨盤は、“正しい場所”に固定するものではありません。

骨盤の上には腰椎と胸郭。

下には股関節と脚。

そしてその周囲では、筋肉や呼吸が絶えず働いています。

だから、

Your pelvis is designed to move.

骨盤は、動くためにある。

「歪んでいるから直さなきゃ」と身体を怖がるのではなく、

前にも後ろにも、左右にも、必要なときに動ける身体へ。

身体を一つの形にはめるのではなく、
身体が持っている選択肢を増やしていく。

それが、美しくしなやかな姿勢につながっていきます。

MAI’s Beauty Anatomy
by Freesia

Beauty from Posture.
姿勢から、自分をもっと好きに。



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