呼吸が浅いと、姿勢まで崩れて見える?|MAI’s Beauty Anatomy #13

BEAUTY ANATOMY

呼吸が浅いと、姿勢まで崩れて見える?

Can Shallow Breathing Affect the Way Your Posture Looks?

MAI’s Beauty Anatomy by Freesia

理学療法士が教える、美しくなる身体の教科書
A Physical Therapist’s Guide to a Beautiful Body

Evidence-Based • Posture • Anatomy • Women’s Health
科学的根拠・姿勢・解剖学・ウィメンズヘルス

01|「姿勢を伸ばしているのに、なんとなく苦しい。」

姿勢をきれいにしようとして、

「胸を張っているのに、すぐ疲れる」
「気づくと呼吸が浅くなっている」
「肩や首に力が入りやすい」

そんな感覚はありませんか?

姿勢というと、背骨や筋肉だけに目が向きがちです。

でも私たちの胸郭は、呼吸するたびに動いています。

肋骨が広がり、横隔膜が動き、息を吐けばまた戻っていく。

つまり、姿勢と呼吸はまったく別のものではありません。

ただし、

「呼吸が浅いから姿勢が悪くなる」

と一方向に決めつけることもできません。

今日は、姿勢と呼吸がお互いにどう関係しているのかを見ていきます。

02|身体では何が起きている?

呼吸の主役は「横隔膜」

横隔膜は、胸郭の下部にあるドーム状の筋肉です。

息を吸うと横隔膜が収縮して下方へ動き、胸腔が広がります。

同時に肋骨も動き、胸郭は前後だけではなく、横や後ろ方向にも広がります。

息を吐くと横隔膜はゆるみ、胸郭も自然に戻っていきます。

この動きを支えているのが、

肋間筋・腹筋群・骨盤底筋群など。

呼吸は肺だけで起きているのではなく、胸郭や体幹全体を使った運動でもあります。

胸椎と肋骨は一緒に動く

肋骨の多くは胸椎と関節をつくっています。

そのため、

胸椎の動きと胸郭の動きは密接につながっています。

長時間同じ姿勢で過ごしたあとに背中が動かしにくく感じると、呼吸したときの胸郭の広がり方も変わることがあります。

反対に、呼吸によって肋骨が動くことは、胸郭を動かす一つの機会にもなります。

首や肩の筋肉も呼吸を助ける

呼吸には、横隔膜だけでなく、状況に応じて胸鎖乳突筋や斜角筋など首周囲の筋肉も関わります。

そのため、首や肩に力が入りやすい人を見るとき、

私は姿勢だけではなく、

「どこを使って呼吸しているか」

も確認します。

ただし、肩が動く呼吸そのものが悪いわけではありません。

運動時など呼吸量が必要な場面では、補助呼吸筋が働くのは自然なことです。

大切なのは、安静時にも必要以上に力んでいないかという視点です。

03|論文・ガイドラインでわかっていること

姿勢と呼吸については、近年さまざまな研究が行われています。

2024年のランダム化比較試験では、胸椎後弯のある閉経後女性40名を対象に、姿勢改善運動のみを行う群と、そこに横隔膜呼吸を加える群が比較されました。

12週間後、両群で胸椎後弯角などが改善しましたが、横隔膜呼吸を追加した群では横隔膜の動きがより大きく改善しました。一方、姿勢の改善については群間差が認められなかったため、「横隔膜呼吸をすれば姿勢が良くなる」とまでは言えません。PubMed

また、座位時間の長い学生52名を対象とした研究では、6週間の呼吸を取り入れた運動により、胸郭の可動性や体幹筋持久力、胸椎後弯の指標に改善が報告されています。DOAJ

研究対象や方法には違いがあるため一般化には注意が必要ですが、

呼吸と姿勢を完全に切り離すのではなく、胸郭・背骨・体幹の動きとして一緒に考える

という視点には意味がありそうです。

04|理学療法士として私が見るところ

「姿勢を良くしてください」

と言うと、多くの方が、

胸を張る。
肩を後ろへ引く。
お腹をへこませる。

という姿勢をつくります。

でも、その状態で

「普通に呼吸できますか?」

と聞くと、

「ちょっと苦しいです」

となることがあります。

私は姿勢を見るとき、形だけではなく、

胸郭が呼吸とともに動いているか。

背中側にも呼吸が入るか。

肩や首に必要以上の力が入っていないか。

息を吐いたときに肋骨が自然に戻るか。

そして、

その姿勢のまま楽に呼吸できるか。

ここを大切にしています。

きれいな姿勢は、息を止めてつくるものではありません。

Freesiaで目指したいのは、

「止まった一枚の姿勢」ではなく、呼吸しながら動ける姿勢。

背骨も動く。
肋骨も動く。
お腹も動く。

その中で自然に身体を支えられることが、しなやかな立ち姿につながると考えています。

05|今日からできるセルフケア

Back Rib Breathing

背中まで感じる胸郭呼吸

今回は「大きく深呼吸する」ことが目的ではありません。

普段あまり意識しない、背中側の肋骨の動きを感じる練習です。

STEP 1|楽な姿勢で座る

椅子に座り、両腕を胸の前で軽く組みます。

背中を無理に伸ばさず、少し楽な姿勢をつくります。

STEP 2|背中へ静かに息を吸う

鼻からゆっくり息を吸います。

胸を大きく持ち上げるのではなく、

背中側の肋骨が少し広がる感覚

を探します。

実際に空気が背中へ入るわけではありません。肋骨の動きを感じるイメージです。

STEP 3|長く吐いて戻る

口または鼻から静かに息を吐きます。

広がった肋骨が自然に戻っていく感覚を感じます。

5呼吸程度。

「たくさん吸う」より、

肩や首を力ませず、胸郭が静かに動くこと

を大切にしてみてください。

息苦しさやめまいが出る場合は中止してください。

Beauty Anatomy Point

姿勢は、呼吸している身体の中にあります。

横隔膜が動く。

肋骨が広がる。

胸椎がその動きに関わる。

そして、また自然に戻る。

Beautiful posture should leave room to breathe.

美しい姿勢には、呼吸できる余白がある。

胸を張り続けなくていい。

背中を固めなくていい。

吸える。
吐ける。
そして動ける。

そんな呼吸のある姿勢を育てていきましょう。

MAI’s Beauty Anatomy
by Freesia

Beauty from Posture.
姿勢から、自分をもっと好きに。


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