肩甲骨は「寄せればいい」わけじゃない。|MAI’s Beauty Anatomy #07

BEAUTY ANATOMY

肩甲骨は「寄せればいい」わけじゃない。

Your Shoulder Blades Aren’t Meant to Stay Squeezed Together.

MAI’s Beauty Anatomy by Freesia

理学療法士が教える、美しくなる身体の教科書
A Physical Therapist’s Guide to a Beautiful Body

Evidence-Based • Posture • Anatomy • Women’s Health
科学的根拠・姿勢・解剖学・ウィメンズヘルス

01|「肩甲骨を寄せて!」を意識しすぎていませんか?

猫背や巻き肩が気になると、

「肩甲骨を寄せれば姿勢が良くなる」

と思っていませんか?

背すじを伸ばして、胸を張って、肩甲骨をぎゅっと後ろへ寄せる。

その瞬間は姿勢が良く見えるかもしれません。

でも、ずっと続けていると、

「背中が疲れる」
「肩や首に力が入る」
「呼吸しにくい」

と感じる方もいます。

肩甲骨は、本来一つの位置に固定しておく骨ではありません。

腕を上げたり、手を前へ伸ばしたり、呼吸したり。

私たちが身体を動かすたびに、肩甲骨も一緒に動いています。

02|身体では何が起きている?

肩甲骨は、背中側にある左右一対の平らな骨です。

特徴的なのは、肩甲骨が胸郭の上を滑るように動いていること。

これを機能的に肩甲胸郭関節と呼びます。

肩甲骨には、

挙上・下制
内転・外転
上方回旋・下方回旋

など、さまざまな動きがあります。

たとえば腕を上げるときには、上腕骨だけが動いているわけではありません。

肩甲骨も胸郭の上を動きながら上方回旋し、腕の動きを助けます。

この肩甲骨と上腕骨の協調した動きは、一般に肩甲上腕リズムと呼ばれます。

肩甲骨を動かしている筋肉

肩甲骨の周囲には、

前鋸筋
僧帽筋
菱形筋
肩甲挙筋

など、多くの筋肉があります。

たとえば前鋸筋は、肩甲骨を胸郭に沿わせながら動かし、腕を上げるときの上方回旋などに関わります。

僧帽筋も上部・中部・下部で働き方が異なり、前鋸筋などと協調しながら肩甲骨をコントロールしています。

つまり肩甲骨は、

「寄せる筋肉だけを使えばいい」わけではありません。

前にも、後ろにも、上にも、下にも。

必要な方向へ動けることが大切です。

胸郭との関係も大切

肩甲骨が乗っている土台は胸郭です。

そのため胸椎が動けば、肩甲骨の位置関係も変化します。

さらに胸郭は呼吸によって動きます。

つまり、

胸椎 → 胸郭 → 肩甲骨 → 上腕骨

は、一つの連鎖として考えることができます。

肩甲骨だけを無理に後ろへ固定してしまうと、この自然な連鎖を使いにくくなる場合があります。

03|論文・ガイドラインからわかっていること

肩甲骨の運動については、肩の症状がある人では肩甲骨の位置や動きに違いがみられる場合があります。

一方で、その違いには個人差があり、

「肩甲骨がこの位置だから痛い」

と姿勢だけから原因を決めることはできません。

肩のリハビリテーションでは、肩甲骨を単に「正しい位置」に固定するのではなく、前鋸筋や僧帽筋などを含めた肩甲骨周囲筋の機能や、上腕骨との協調した運動を改善することが重要と考えられています。

また、肩甲骨を意識した運動は、肩の痛みや機能に良い影響を与える可能性が報告されていますが、どの運動が最適かは症状や身体の状態によって異なります。

つまり、

「肩甲骨を寄せること」そのものが目的なのではなく、必要なときに適切に動かせること。

これが大切です。

04|理学療法士として私が見るところ

私が巻き肩や肩のラインを見るとき、

「肩甲骨が外にあるから寄せましょう」

だけでは終わりません。

見るのは、

胸椎は動くか。

胸郭は呼吸とともに動いているか。

腕を上げたとき、肩甲骨も一緒に動くか。

前鋸筋や僧帽筋が協調して働いているか。

首や肩に必要以上の力が入っていないか。

そして、

肩甲骨を寄せることも、離すこともできるか。

ここを大切にしています。

肩甲骨が少し外側にあること自体が「悪い姿勢」なのではありません。

手を前へ伸ばせば肩甲骨は自然に外側へ動きます。

腕を上げれば、さらに位置は変わります。

だからFreesiaでは、

肩甲骨を一つの場所に固定するのではなく、胸郭の上をしなやかに動ける状態

を目指します。

美しい背中とは、肩甲骨をぎゅっと寄せ続けた背中ではありません。

力まず、必要なときに自然に動ける背中。

私は、そんな身体のほうが美しいと考えています。

05|今日からできるセルフケア

Wall Reach|壁を使った肩甲骨リーチ

今回は「肩甲骨を寄せる」のではなく、

肩甲骨を胸郭の上でやさしく動かす感覚

をつくってみましょう。

STEP 1|壁に手をつく

壁の前に立ち、両手を肩幅程度にして壁につきます。

肩をすくめず、首の力を抜きます。

STEP 2|壁をやさしく押す

肘は伸ばしたまま、壁をやさしく押します。

このとき背中を丸めるのではなく、

肩甲骨が背中の外側へ少し広がる感覚

を探します。

胸郭の後ろ側が少し広がるように、ゆっくり息を吸います。

STEP 3|ゆっくり戻る

息を吐きながら力をゆるめます。

肩甲骨を無理に寄せず、自然な位置へ戻します。

5〜8回程度。

「たくさん動かそう」とせず、

肩甲骨が胸郭の上を滑っている感覚

を味わってみてください。

痛みやしびれが出る場合は無理に続けないようにしてください。

Beauty Anatomy Point

肩甲骨は、寄せて固定するための骨ではありません。

腕を動かすと、

肩甲骨も動く。

胸郭が動くと、

肩甲骨の位置も変わる。

呼吸をすれば、

その土台となる胸郭も動きます。

Beautiful shoulders are free to move.

美しい肩まわりは、自由に動ける。

「正しい位置」に閉じ込めるのではなく、

寄せることもできる。
広げることもできる。
上にも下にも動ける。

そんな選択肢のある身体をつくることが、自然で美しい姿勢につながっていきます。


MAI’s Beauty Anatomy
by Freesia

Beauty from Posture.
姿勢から、自分をもっと好きに。

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